そろそろ新年度ですね!

そろそろ新年度となりますが、事業主の皆様、人事担当者の皆様も、忙しい時期になってきているのではないかと思います。
そんなお忙しい事業主の皆様も、取引先やネットの情報、また顧問先の弁護士の先生、税理士の先生、社労士の先生から情報を得て、法改正・制度変更については既に対策・対応等を進めていただいていると思います。

まぁ、当オフィスの記事でもいくつかの改正に関する記事を公開しておりますが、個人の社労士事務所の記事などそれほど見てくれる人は「いない」事が想定されますので、まぁ、もしお時間が有ったら関連記事でも参考にしてください。

しかし!!

本業に忙しい中小企業の事業主様におかれましては、「聞いてはいたけどなんだっけ?」という事も無きにしもあらず!
そんな年度末ギリギリにになりまして、「厚生労働省関係の主な制度変更(令和4年4月)について」という、便利な一覧が厚生労働省のウェブサイトにて公開されました。

厚生労働省関係の主な制度変更(令和4年4月)について

(厚生労働省ウェブサイトより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659_00013.html

変更される制度はどんな感じか?

ざっと厚生労働省関係の制度変更の見出しを見ますと以下の7項目があります。

  • 年金関係
  • 医療関係
  • 子ども・子育て関係
  • 疾病対策関係
  • 雇用・労働関係
  • 各種手当て・手数料関係
  • その他

事業主様としてこの中でも特に「雇用・労働関係」の項目にはチェックをしていただく事をお勧めいたしますが、その中で主な対象者が事業主が入っているものを書き出しますと下の表のような感じです。

2022年4月制度変更の内容

結構前からパワハラ関連と育児・介護休業法関連の改正については、情報も多く出ていたため、対策・対応を行っている事業主様も多いことかとは思います。

また、雇用保険の料率に関しても事前にニュースなどで出ていたこともあり、知っている事業主様も多いことかと思いますが、こちらに関しましては、雇用保険料率が年度内に段階的に上がる事となるため、従業員の皆様にキチンとした説明をすることが必要になるのではないかと思います。

そもそも、私自身社労士という職業で無ければ、雇用保険料率なんて何のことやら分からん状態だったというのが本音でして、ニュースで流れていたとしても気にも留めなかった事かと思います。そんな中、自分の給料から引かれる金額が若干でも多くなるならば、セコイ私としては「あれ?」と思うことであったと思います。

そんな質問が多くなることも考えられることから、事前の説明をしておく、あるいは、掲示しておくなどの事をしておけば、まぁ、質問は少なくなりますので、忙しい事業主様は自分の時間の確保のためにも説明はキチンと行いましょう。

その他にはどんな改正が……

その他、社会保険労務士としては専門から少し外れますが、事業主様や会社の従業員が注意しておいた方が良いと思う改正についてです。

民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)

こちらもニュースでやってますよね。
私も息子が新年度より高校3年生になるため、学校からメールが届きました。

成年年齢の見直しは、明治9年以来約140年ぶりで、成年年齢の引下げによって、18歳・19歳になると、親の同意を得ずに色々な契約をすることができるようになる事になります。
すなわち、会社としては仕事をしていく上で、顧客となる18歳に対して注意すべきことと、従業員として雇う18歳に対して注意すべきことなどが発生するわけです。

ハッキリ言いますと、私の息子は高校卒業後就職の予定なんですが、正直「な~んにも」分かってません。
知っているのは18歳から成人だけ。
いきなり、学校教育が不足な状態で何も分からないまま世間に放り出された18歳の従業員が、いきなり外でトラブルになり、それが会社に持ち込まれることも考えられるわけで、18歳の従業員を雇うときに、ある程度の教育を行うという事が必要だと考えられている事業主様は、以下の法務省のウェブサイトより資料などをダウンロードして活用していただく事をお勧めします。

民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について

(法務省ウェブサイトより)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html

民法改正 成年年齢の引下げ〜若者がいきいきと活躍する社会へ~

(法務省ウェブサイトより)※PDFファイル
【リーフレット】民法改正 成年年齢の引下げ〜若者がいきいきと活躍する社会へ~
https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf

特設ウェブサイト「大人への道しるべ」

(法務省ウェブサイトより)
特設ウェブサイト「大人への道しるべ」
https://seinen.go.jp/

なお、この特設ウェブサイト「大人への道しるべ」ではクイズがあるのですが、このクイズ侮れません。普段法律に携わっていない大人で全問正解できる人は中々いないと思います。
是非、社内での教育活動に活用してください!……なお、私個人も勉強になりました。

改正個人情報保護法

最近、ネットショップとかから「プライバシーポリシーの改定」なんてメールがよく届きませんか?
個人情報保護法の改正により、プライバシーポリシーの変更が必要になったためです。

しかしながら、この個人情報保護法ってかなり難解なんですよね。(個人的に……)
私が行政書士試験を受験をしていた頃、個人情報保護法の問題は一般知識から必ず出題がされると言われておりました。私、行政書士試験には合格をしているのですが、実は個人情報保護法がかなりの苦手で困っていたんですよね。ところが、私が合格した年の試験では個人情報保護法の改正があったため、試験問題が出題されず、何とかなったという、情けない事情があります。
とは言え、私も個人事業主なので同様ですが、例え難解な法律であっても、事業主様としては是非これを機会に目を通していただく事が必要かな? と思われます。

今回の改正の背景は「個人情報に対する意識の高まり、技術革新を踏まえた保護と利用のバランス、個人情報が多様に利活用される時代における事業者責任の在り方及び越境移転データの流通増大に伴う新たなリスクへの対応等の観点から」となっており、改正の主な点は以下となります。

  • 漏えい等が発生した場合に、個人の権利利益を害するおそれが大きい事態については、個人情報保護委員会への報告及び本人への通知を義務化。
  • 外国にある第三者への個人データの提供時に、本人に対し、移転先事業者における個人情報の取扱いに関する情報提供の充実等を求める。
  • 安全管理のために講じた措置(公表等により支障を及ぼす恐れがあるものを除く)を公表等する義務がある事項として追加。
  • 違法又は不当な行為を助長する等の不適正な方法により個人情報を利用してはならない旨を明確化。
  • 保有個人データの開示方法は、電磁的記録の提供(CD-ROM等の媒体の郵送、電子メールによる送信、ウェブサイトでのダウンロード等)を含め、本人が指示できる。
  • 利用停止・消去等の請求権について、一部の個人情報保護法違反の場合に加え、個人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合にも拡充。

詳しいことは個人情報保護委員会にリーフレットやマンガで解説された資料などもありますので、是非参考にしてください。(……私もですが)

改正個人情報保護法 特集

(個人情報保護委員会ウェブサイトより)
https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihou_feature/

まとめ

法改正や制度変更というは毎年行われており、その都度、事業主様は情報集めに大変な労力を費やします。また、権利意識の高まりやネットで情報を容易に取得できることから、従業員自身に係る改正に関して対策・対応を取られていない場合、事業主様に悪意はなかったとしても従業員の印象、ひいては顧客からの印象が悪くなってしまう事も考えられます。
もし、事業主様に顧問の弁護士・税理士・社労士の先生などがいらっしゃる場合には、情報をいただいているかとは思いますので、是非、それぞれの分野での改正情報については目を通していただく事をお勧めいたします。

また、もし顧問の先生がいない場合ですが、国税庁や厚生労働省などの省庁のホームページを定期的にチェックしていただく事で確認は可能ですが、本業に専念したいという事であるならば弁護士・税理士・社労士の先生などと顧問契約を結ばれることをお勧めいたします。

私も社会保険労務士ですので、顧問契約を……なんて考えてはおりますが、出来る限り有用な記事を公開することをしていきますので、当オフィスのウェブサイトにまたお立ち寄りください。
なお、育児・介護休業法関連とパワハラ関連の記事もありますので参考にしていただければ幸いです。